父の影響で声楽家を目指している音大生の望月智基は突然、事故で尊敬するテノール歌手の父を亡くしてしまう。
次のコンクールに向けた練習で壁にぶつかっていた智基は、それ以来スランプに陥ってしまった。
ある日智基は気分転換にと、父に連れていってもらった宮神山の志乃川渓流を訪れる。
幼い頃に二人で溺れかけて以来足を運ぶことはなくなっていたが、父と共に過ごし、声楽を好きになった思い出のある場所だ。
そこで父の子守歌を口ずさんでいた智基だが、突如「志乃川を司る神だ」と名乗る龍に出会う。
自然と共に生きてきたその龍は、人間がどのような生き物か、共に生きていく価値があるかを知りたいと、溺れた幼い智基の命を救った対価に同居生活を申し込む。
“志乃”と名を付けた、世間知らずな龍神様に最初のうちは振り回されてばかりいたが、次第に志乃の純粋で真摯な姿に智基の心は奪われていき…?