時は五条帝の御代。
若くして大納言の役職につく藤原光則は、最愛の妻の忘れ形見である息子を病で亡くし、失意の淵にいた。
ある日の陣定で、都で話題の夜盗「十六夜」を捕らえる検非違使別当の役職を命じられる。
一度は十六夜として盗みに入った美しい少年を捕まえる。
彼は帝の妹として育てられた弟・楓の宮だった。
それを知らない帝に、彼と婚姻を結ばされた光則。
結婚しても楓の無愛想な態度に憤慨し、強姦するが、楓が十六夜として捕まえた少年だと知る。
光則は楓の人生に自分の弟・狭霧を重ね、本心を知るために彼の心を溶かそうと行動を起こすが――。